「プリズム・オブ・リラ 銀河系宇宙種族の起源を求めて」より引用
1992年8月20日 初版第一刷発行
著者:リサ・ロイヤル、キース・プリースト 翻訳:星名一美
琴座にあった惑星。
統合された社会を築く試みが最初になされた惑星である。
やがて、琴座に三番目の文明が生まれた。
陰と陽の統合を目指したこの惑星は、三角形のモデルの統合点を示す頂点に相当するため、これを「エイペックス」(訳注”Apex"は「三角形の頂点」の意)と呼ぶ。
この惑星では、後々、極めて複雑なドラマが展開されることになる。
エイペックスは、琴座とベガの両方の特徴を取り入れた文明を持ち、人種的には混血種だった。
肌の黒い人、白い人、平和主義者、侵略主義者、芸術家、音楽家、兵士など、そこには現在の地球より、はるかに多種多様な人々が住んでいたが、彼らは平和的に共存することができなかった。
この惑星上で起きた粉争は、地球より過酷をきわめ、やがて惑星全体が両極に分断されて、解決の糸口がないままに紛争が続いた。
この惑星にとって、絶望的な未来が到来することは必至のように思われた。
そして、エイペックス人は汚染の悪化と戦争により、ついに自分たちの惑星を滅亡させてしまったのである。
両極が統合に向かわず、力に頼んで衝突すると、そこに「融解」が起こる。
エイペックスの場合、これは核戦争という形で起きた。惑星の一部の住人は地下に避難したが、大多数の人々は核戦争で死滅した。
核戦争の後、奇妙な現象が起きた。
エイペックスという惑星そのものが、空間から消滅してしまったのだ。にもかかわらず、地下に避難した人々は生き続けていた。
何が起きたかといえば、核爆発の結果、この惑星が次元に移動してしまったのである。
爆発後も、地表面ではひどい放射能汚染が続き、生存者たちは地下に住むことを余儀なくされた。
生存者たちはいったんショックから立ち直ると、まったく新しい生活を営むことになった。
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